5年の経験があるのに経営業務管理責任者の要件を満たしていない?

建設業許可を取得するための要件の1つに、経営業務管理責任者が常勤していることというものがあります。

具体的には、

・申請業種に関して、5年以上の経験

・申請業種以外に関して、7年以上の経験

が必要となります。

ただ、この経験年数は、単に役員あるいは個人事業主としての経験があればいいものではありません。

というのは、この経験年数を証明するために、契約書か注文書と請書控のセットか注文書等と発注者の発注証明書のうちのどれかが年1件必要となります。

申請業種が1つで、5年の経験を証明するのであれば、契約書等が5枚必要となることになります。

例えば、今年設立5年を迎え、建設業許可を新規申請する場合には、平成14年~平成19年の年1件ずつ必要となります。

ですので、会社を設立してから5年経っていて役員経験を登記簿謄本で確認できても、各年ごとに証明できなければ申請できません。

法人の役員あるいは個人事業主として、経験があるだけではなく、実際に工事を請け負っている必要があります。

経営業務管理責任者としての要件としては、

・5年あるいは7年以上の経験がある

・5年あるいは7年の経験を各年1件ずつ証明する書類が用意できる

以上の2つを満たす必要があるということです。

 

契約書がない!

建設業の許可の要件の1つに「経営業務管理責任者がいること」というものがあります。

この経営業務管理責任者としての経験があるかどうかを同業者に証明してもらうほかに、5年か7年の経験年数に応じて、1年に1件ずつ、下記の書類のどれかを申請業種ごとに提出する必要があります。

①契約書

②注文書及びそれに対応する請書控

③注文書、請求書、見積書のいずれか及びそれに対応する発注者の発注証明書

が必要になります。

①の契約書は、工事ごとに必要となりますので、なかなか揃わないというのが実情です。

そうなると、②か③となるのですが、現実的には、③の注文書と発注証明書を提出することが多いかもしれません。

発注証明書とは、その名のとおり、注文書に記載がある工事について、発注者が「確かに発注しました!」ということを証明するものです。

お付き合いのある会社であれば、問題なく押印してくれるかと思います。

ただ、証明をする方が、「契約締結の権限がある方」となっていますので、発注者によっては、証明をもらうのに時間がかかるかもしれませんので、その期間も申請までの期間の中に考慮しておく必要があるかと思います。

 

また、発注者の会社名が変更により工事を請けていたときと違っている場合には、登記簿謄本を提出することも必要になりますので、手間が増える可能性があります。

 

 

財務諸表は税抜き?税込み?

建設業許可を新規に申請する場合や、許可取得後に、事業年度終了届を提出する場合に、財務諸表を作成しなければいけません。

この財務諸表は、決算書をもとに記入していくのですが、消費税をどうするかという点で意外に迷います。

結論からいうと、税理士さんが作成する通常の決算書にあわせて記載すれば大丈夫です。

決算書が消費税込みであれば、消費税込みで建設業の財務諸表も作成し、消費税抜きであれば、消費税抜きで作成します。

ただし、公共工事に入札することをお考えの場合には、財務諸表は、税理士さんが作成する決算書に関わらず、消費税抜きで作成する必要があります。

 

ですので、財務諸表の完成工事高と同じ数字になる直前3年の工事施工金額に関しても、財務諸表にあわせて記入することになります。

 

ただ、工事経歴書に関しては、公共工事に入札するかどうかに関わらず、消費税込みの請負金額を記載することになりますので、ご注意ください。

 

消費税込みかどうかは、数字が変わることですので、建設業許可の新規申請や事業年度終了届の作成時には、以外な落とし穴となり、気をつけたいところです。

 

経営業務管理責任者は5年でOK?

建設業許可の要件の1つに、

経営業務管理責任者としての経験がある方が常勤していること

が必要となります。

具体的には、

・申請する業種に関してであれば、5年以上の経験

・申請する業種以外に関してであれば、7年以上の経験

が必要となります。

ですので、たとえば、電気工事業に関して、5年の役員経験があり、電気通信工事業を一緒に申請する場合には、電気工事業に関して、7年以上の役員経験がない場合には、電通信事工事業に関しては、一緒に申請できないことになります。

ただ、建設業許可事務の取扱い等についてまとめてたガイドライン(建設業許可事務ガイドライン)の中で、次のような誤解するような文言があります。

本号は、許可を受けようとする建設業について、本号のイ又はロに該当する者を一の建設業ごとにそれぞれ個別に置いていることを求めるものではなく、したがって二以上の建設業について許可を行う場合において、一の建設業につき本号のイ又はロの要件を満たしている者が、他の建設業についても本号のイ又はロの要件を満たしているときは、当該他の建設業についてもその者をもって本号の要件を満たしているとして取り扱う。

※ 本号とは、建設業法7条1号のことです。

【建設業法7条1号】 

国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

1.法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)のうち常勤であるものの一人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に関し5年以上経営業務の管理者任者としての経験を有する者
ロ 国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者

 

下線の部分は、5年以上の役員経験があれば、ほかの業種でも役員経験があるものとして取り扱うというように読むことができます。

ただ、実際には、

・申請する業種に関してであれば、5年以上の経験

・申請する業種以外に関してであれば、7年以上の経験

がないと申請できません。

誤解を与えるような文言ですので、注意したいところです。

経営業務管理責任者の証明者は誰になる?

建設業許可の要件の中でも重要なものの1つに「経営業務管理責任者がいること」というものがあります。

この経営業務管理責任者がいることを証明するために作成する書類が、「経営業務の管理責任者証明書」となります。

 

経営業務の管理責任者証明書とは、申請しようとする業種についての経験年数が本当かどうかを証明する書類ですが、許可を受けている使用者に証明してもらう必要がありますので、取引先に証明してもらうことがほとんどです。

※ 申請しようとする会社の業種と証明をもらう会社の業種は同じである必要はありません。

自分で証明することが認められるのは、

①自分が経営していた会社が倒産して、再度会社を立ち上げ、建設業許可を取得する場合

②会社の代替わり(事業承継)

この2つぐらいかと思われます。

①の場合でも、

・以前に経営していた会社の、「経営業務の管理責任者証明書」で5年以上(7年の場合もあります)の経営経験があることが証明されていること

・以前に経営していた会社が、今回申請する会社と同一業種であること

※ 申請する業種によって、必要な経験年数が変わる場合があります。

 

結論は、 「経営業務の管理責任者証明書」の証明者は、

許可をもっている取引先・同業者

が基本的な証明者となります。

  

では、許可を有している業者であれば、どの業者でもよいのか?という疑問があります。

結論からいえば、許可を受けている業者の証明であれば、どの業者でもよいです。

極端な話、申請する直前に許可を受けた業者でもOKということです。 

ただ、経営業務管理責任者は、5年又は7年の経験が必要ですので、その経験があることを証明する業者は、

①5年又は7年前から許可を有している

②被証明者(証明をもらう会社)と5年又は7年以上付き合いがある

この2つの要件を満たしていることが本質的には望ましいといえます。

 

 

付帯工事とは?

建設業者は、許可を受けた業種の工事のほかに、それに付帯するほかの業種の工事も請け負うことができます。

例えば、電気工事をおこなうにあたって、内装仕上工事に該当するものも施工しなければいけない場合がありますが、この内装仕上工事は、電気工事の付帯工事として、施工することができるとされています。

 

「建設業許可事務ガイドライン」では、付帯工事を

主たる建設工事を施工するために生じたほかの従たる建設工事又は主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないもの

と記載されています。

 

建設工事は、請け負った工事に関連する工事もおこなわないと進まない工事があり、別々に発注しないといけないということでは、不都合を生じるということで、付帯工事の施工に関しても認められています。

 

ただ、軽微な工事以外の場合は、その付帯工事に関して、一般建設業の要件を満たす者がいなければ施工することができません。

なんでもかんでも、付帯工事で施工できるわけでありませんので、ご注意ください。

 

※ 軽微な工事とは、工事1件の請負代金の額が

・建築工事一式の場合・・・1,500万円未満の工事又は延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

・そのほかの建設工事の場合・・・500万円未満の工事

をいいます。

 

国家資格者・監理技術者等一覧表とは

国家資格者・監理技術者等一覧表とは、

専任技術者以外の方で、専任技術者の要件を満たす資格を持っている場合や監理技術者となることができる方がいる場合に提出する書類

です。

具体的には、次の4つの要件を満たしている場合に国家資格者・監理技術者等一覧表を作成することになります。

・国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者(建設業法7条2号ハ)

・建設業法第27条第1項の規定による技術検定その他の法令の規定による試験で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものに合格した者又は他の法令による免許で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものを受けた者(建設業法第15条2号イ)

・第7条第2号イ、ロ又はハに該当する者のうち、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものに関し2年以上指導監督的な実務の経験を有する者(建設業法第15条2号ロ)
・国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者(建設業法第15条2号ハ)

ただし、建設業法第15条2号ロとハに関しては、特定建設業の許可を受けようとする者、または、特定建設業許可の許可を受けている者が作成を必要とします。

 

 

 

 

業種例一覧【建設業の業種と建設工事の例】

建設業法は、建設業を28業種にわけており、ガイドライン等でどのような業種がどのような建設工事に対応するかを示しており、それをまとめると、次のようになります。
 建設工事の種類業種建設工事の内容建設工事の例示
1土木一式工事土木工事業総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。以下同じ。) 
2建築一式工事建築工事業総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事 
3大工工事大工工事業木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事大工工事、型枠工事、造作工事
4左官工事左官工事業工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事
5とび・土工・コンクリート工事とび・土工工事業①足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄筋等の組立て、工作物の解体等を行う工事
②くい打ち、くい抜き及び場所打ちぐいを行う工事
③土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事
④コンクリートにより工作物を築造する工事
⑤その他基礎的ないしは準備的工事
①とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄筋組立て工事、コンクリートブロック据付け工事、工作物解体工事
②くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ちぐい工事
③土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
④コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事
⑤地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、道路付属物設置工事、捨石工事、外溝工事、はつり工事
6石工事石工事業石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事
7屋根工事屋根工事業瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事屋根ふき工事
8電気工事電気工事業発電設備、変電設備、送配線設備、構内電気設備等を設置する工事発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変遷設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事
9管工事管工事業冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して、水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更正工事
10タイル・れんが・ブロック工事タイル・れんが・ブロック工事業れんが・コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、石綿スレート張り工事
11鋼構造物工事鋼構造物工事業形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油・ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門・水門等の門扉設置工事
12鉄筋工事鉄筋工事業棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事鉄筋加工組立て工事、ガス圧接工事
13ほ装工事ほ装工事業道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等によりほ装する工事アスファルトほ装工事、コンクリリートほ装工事、ブロックほ装工事、路盤築造工事
14しゅんせつ工事しゅんせつ工事業河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事しゅんせつ工事
15板金工事板金工事業金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事板金加工取付け工事、建築板金工事
16ガラス工事ガラス工事業工作物にガラスを加工して取付ける工事ガラス加工取付け工事
17塗装工事塗装工事業塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物と送工事、路面標示工事
18防水工事防水工事業アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事
19内装仕上工事内装仕上工事業木材、石膏ボード、吸音版、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事
20機械器具設置工事機械器具設置工事業機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事プラント設備工事、運搬器具設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊戯施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車場設備工事
21熱絶縁工事熱絶縁工事業工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事
22電気通信工事電気通信工事業有線電気通信工事、無線電気通信工事、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械設置工事、空中線設備工事、データ通信設備工事、情報制御設備工事、TV電波障害防除設備工事
23造園工事造園工事業整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、 屋上等緑化工事
24さく井工事さく井工事業さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事
25建具工事建具工事業工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドア取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事
26水道施設工事水道施設工事業上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理施設を設置する工事取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事
27消防施設工事消防施設工事業火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機避難橋又は排煙設備の設置工事
28清掃施設工事清掃施設工事業し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事ごみ処理施設、し尿処理施設工事

 

ただし、次の非建設工事は、建設工事に含まれませんので、完成工事高に入れなようにご注意ください。

・剪定、草刈り、枝払い、伐採業務を造園工事の完成工事高として記載しているもの

・保守・点検業務を電気通信工事または消防設備工事の完成工事高として記載しているもの

・溝浚い、草刈り、除土運搬、道路清掃業務を土木一式またはとび・土工工事業の完成工事高として記載しているもの

・地質調査、測量調査をとび・土工工事として記載しているもの

・建売分譲住宅の販売額を建築一式工事の完成工事高として記載しているもの

・自社社屋等の自ら施工した工事を建築一式工事として記載しているもの

など。

上記の工事は、兼業売上高に入れることになります。

 

所定学科一覧

建設業許可を取得するための要件の1つに「専任技術者がいること」というものがあります。

専任技術者の要件としては、

イ 許可を受けようとする業種の工事について高校等(所定学科)を卒業後5年以上、大学・高等専門学校(所定学科)を卒業後3年以上の実務経験を有する方

ロ 許可を受けようとする業種の工事について、10年以上の実務経験を有する方

ハ イ又はロと同等以上の知識、技術、技能を有すると認められた方

となっております。

ここでは、イの要件を満たす所定学科とはどのような学科であるかを

① 取得したい建設業の業種(表の左側)

② ①に対応する学科を確認(表の右側)

という順番で下記の表でご確認ください。

 
業種学科
土木工事業
舗装工事業
土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治水、緑地又は造園に関する学科を含む。以下この表において同じ。)、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科
建築工事業
大工工事業
ガラス工事業
内装仕上工事業
建築学又は都市工学に関する学科
左官工事業
とび・土工工事業
石工事業
屋根工事業
タイル・れんが・ブロック工事業
塗装工事業
土木工学又は建築学に関する学科
電気工事業
電気通信工事業
電気工学又は電気通信工学に関する学科
管工事業
水道施設工事業
清掃施設工事業
土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科
鋼構造物工事業
鉄筋工事業
土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
しゅんせつ工事業土木工学又は機械工学に関する学科
板金工事業建築学又は機械工学に関する学科
防水工事業土木工学又は建築学に関する学科
機械器具設置工事業
消防施設工事業
建築学、機械工学又は電気工学に関する学科
熱絶縁工事業土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
造園工事業土木工学、建築学、都市工学又は林学に関する学科
さく井工事業土木工学鉱山学、機械工学又は衛生工学に関する学科
建具工事業建築学又は機械工学に関する学科
※ 建設業法施行規則第1条

建設工事とは?

建設業の許可を取得するには、様々な要件を満たしていることが必要となりますが、その要件を満たすために、自社で請け負った工事の経験を証明しなければならないことがあります。

その際、

・どのような工事をおこなっているか

・どの業種の許可を取得したいのか

ということがポイントとなります。

自社がおこなっている工事が、取りたい業種に該当しない場合もありますので、自社が施工した工事を把握し、申請準備をすすめていくことが必要となります。

この確認作業をおこなわず、自分で判断して申請をした場合、書類を作成しなおすことになるかもしれませんので、めんどうな作業ではありますが、二度手間を防ぐためにも、不明な場合は、役所に問い合わせる等をして自社の工事がどの業種にあたるかをはっきりさせておくとよいかと思います。

 

ただ、自社の工事がどの建設工事にあたるかを判断するためには、そもそも建設工事がどういうものを知っておく必要があります。

建設業法では、

建設工事とは、土木建築に関する工事で別表第1の上覧に掲げるものをいう。

となっています。

建設工事のなかには、土木工事・建築工事以外にも、設備工事等も含みます。

また、別表第1の上覧に掲げるものは、次の28種類の工事を指します。

土木一式工事、建築一式工事、大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、菅工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、ほ装工事、しゅんせつ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事

具体例については、次のページをご参考ください。

     ↓

業種例一覧【建設業の業種と建設工事の例】

 

上記のページには、工事の具体例の記載もありますが、重複しているものもありますし、例の中にない工事もあると思います。その場合は、工事内容ごとに、どの工事にあたるかを判断することになります。

 

また、下記の業務は、建設工事にあたりませんので、ご注意ください。

・樹木等の剪定

・道路維持業務における草刈

・設備関係の保守・点検業務

・家電製品販売にともなう付帯物の取り付け 等